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スタグフレーションとは?仕組みや経済への影響を分かりやすく解説

HAYATO

最近、ニュースや新聞など「スタグフレーション」という聞きなれない経済用語を目にすることが多くなっていますが、皆さんはこの意味を理解していますか?

今回はスタグフレーションの仕組みや経済(家計)への影響などの基礎知識を分かりやすく解説します。

 

スタグフレーションとは?

スタグフレーションとは、景気の停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と物価が持続的に上昇する「インフレーション(Inflation)」を組み合わせた造語です。

 

通常は、景気が落ち込むと物価が下がり(デフレーション)、景気が上向くと物価が上がります(インフレーション)。スタグフレーションは、景気の停滞と物価の上昇が同時に進行する経済現象であり、景気と物価がかみ合っていない状態と言えます。

 

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「景気と物価がかみ合っていない」とは意味をより理解するために、「インフレーション」と「デフレーション」の仕組みについてみていきましょう。

 

(1)インフレーション

インフレーションとは、物価が継続的に上昇する状態であり、緩やかな物価上昇は景気の拡大を促す傾向にあります。

 

需要が供給を上回ると、消費者はモノが高くても買うため、企業がモノの値段を引き上げ、企業の生産活動も活発となり利益が増えます。その結果、従業員の給料も増えて、消費活動がさらに活発となり好循環が生まれます。

 

 

(2)デフレーション

フレーションとは、物価が継続的に下落する状態であり、景気が停滞しやすくなります。

 

需要が供給を下回ると、企業がモノの値段を引き下げてでも売ろうと競争するため、企業の業績が悪化します。その結果、従業員の給料も減り、消費者は消費活動を控えるようになります。

 

所得が減少した消費者は安くないとモノを買わなくなるため、企業はモノの価格をさらに下げ、ますます景気が停滞するという悪循環が発生することになります。このような悪循環を一般的に「デフレスパイラル」と呼ばれています。

 

 

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日本では1990年初めのバブル崩壊から2000年初めまでを「失われた10年」と呼ばれますが、まさにデフレスパイラルの状態にあったと言えます。

 

スタグフレーションはどうして起こるの?

通常は、景気が停滞すると需要も落ち込み、物価は下落します(デフレーション)。逆に景気が上向くと購買意欲が刺激され、需要の拡大とともに物価も上昇します(インフレーション)。

 

それではなぜ景気が停滞した状態でも物価が上昇するという事態(スタグフレーション)が発生するのでしょうか。それは、石油や食料などの生活必需品の供給不足が主因だと言われています。

 

過去を振り返ると、日本では1970年代の第1次オイルショック後にスタグフレーションを経験しています。

 

1973年に勃発した第4次中東戦争をきっかけに石油輸出機構(OPEC)に加盟している中東の国々が価格の引き上げをねらい供給制限を行ったため、原油価格が急騰しました。

 

日本では輸入原料の高騰により企業が生産活動を抑制したことで景気が後退。一方、供給が需要に先んじて減少したために物価が上昇する事態となりました。

 

スタグフレーションになるとどうなるの?

スタグフレーションが起こると私たちの生活や経済・社会全体にマイナスの影響があります。

 

景気が停滞すれば企業の業績は悪化し、賃金の上昇も望めない。一方で、生活必需品の値段は上昇するため、私たちの生活はますます苦しくなります。まさに賃金低下と物価上昇のダブルパンチを受けることになります

 

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第1次オイルショックの時にはトイレットペーパーをはじめとする生活必需品の買い占め騒動が起こりましたが、生活必需品が手に入らないなど一時的な混乱も起こるかもしれません。

 

私たち消費者の購買意欲にブレーキがかかるため、当然企業の業績は悪化し、リストラや事業縮小などにより景気の低迷につながります。さらに、失業者の増加・貧困家庭が増加すれば貧困由来の犯罪が増えて治安も悪くなるなど、社会全体へもマイナスの影響が波及しかねません。

 

そして、スタグフレーションが厄介なのは、中央銀行による景気浮揚のための政策手段が効かず、一旦突入すると出口を見つけるのが極めて難しいことです。

 

通常の景気後退であれば、中央銀行が金利引き下げなどの金融緩和により企業の設備投資や消費を刺激できます。しかし、スタグフレーションの環境下では、金融緩和は更なる物価上昇につながりかねず、最悪の場合は通貨が暴落するハイパーインフレを招くことになります。一方、インフレ抑制を優先せざるを得なくなって金利引き上げをすれば、景気後退から抜け出せずますます家計は厳しくなってしまいます。

 

なぜスタグフレーションへの懸念が高まっているの?

コロナ禍からの急激な回復過程でのサプライチェーンの混乱による供給不足、石油開発機構(OEPC)など産油国の供給制限を主因とした原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻を受けた食糧・エネルギーの供給不安などにより世界中で高インフレに見舞われています。

 

一方、米国をはじめとする主要国では量的緩和政策の縮小・利上げを急ピッチで進めていることから、金利上昇による景気後退も懸念されています。そのため、「高インフレ」と「景気後退」が同時に進行する、「スタグフレーション」への警戒感が高まっているのです。

 

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日本では日銀が景気浮揚を優先した金融緩和政策を継続せざるを得ない状況であることから、日米金利差の拡大を受けた円安もインフレを加速させています。「うまい棒」が10円から12円に値上げしたのはニュースにもなり印象的でしたね。

 

スタグフレーションに備えてすべきことは?

スタグフレーションは世界中のさまざまな要因が絡まり合って起こるものであり、スタグフレーションの発生を防ぐことは難しい。

 

しかし、スタグフレーションのような経済的ショックが来ても耐えられるように個人で備えることはできます。具体的な方法は、本業での給与アップが見込めないので、副業や投資などで本業以外の収入源を増やすことです。

 

(1)副業・サイドビジネス

2018年に厚生労働省が副業・兼業の促進に関するガイドラインを公表し、国策として副業が推進されています。

 

副業は収入源を増やすだけでなく、本業だけでは得られないスキルや経験を得ることができたり、転職や起業を視野にいれたチャレンジとしても活用できます

 

インターネット上で仕事を受注することができるマッチングサイト(クラウドワークスCraudiaクラウディアワークエニー)、自分のノウハウや商品を販売できるサイト(ココナラスキルクラウド)など個人が副収入を気軽に得ることができる環境が整ってきました。

 

ここではボクが利用したことのあるサービスは参考までに記載しましたが、それ以外にも様々なサイトがありますので、自分に合ったものを探して試してみて下さい。

 

(2)投資・資産運用

給与アップが見込めない中、自分が働いて得る収入だけでは限界があり、資産を働かせること(投資)によって得られる収入をうまく得ることが重要となります。

 

投資・資産運用の必要性について興味がある方は下記記事を参照してみて下さい。

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スタグフレーションが起きる時は投資環境は決して好ましい状況とは言えませんが、スタグフレーションに強いと言われている金・コモディティ・不動産への投資割合を高めてインフレのリスクを軽減することはできます。

 

また、優良銘柄を割安で買う(仕込む)ことにより長期的に収益を上げるチャンスをつかむことは可能だと思います。これまで投資を敬遠していた方もぜひこの機会に検討してみて下さい。

 

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